Site Loader
遺言書

終活がたくさんの人から注目を集めています。被相続人が亡くなった後、遺族は葬儀の執り行ない方や相続問題で悩んでしまいます。遺族のためにも、今できることを考え行動しましょう。今回は、終活のすすめ方についてお伝えします。

終活は今後のためになる

終活することで身の回りを整理し、残りの人生の生き方を考えさせてくれます。現在は、地域コミュニケーションが徐々に減っており、代わりに家族間のコミュニケーション密度が高まりました。そのため、死は「個人を尊重するべき」という風潮が起き、迷惑をかけずに最期の人生を迎えたいと希望するが増えています。

日本人の平均寿命も長くなり、老後生活をどう過ごすか悩みを抱える人も多いでしょう。「今は元気だけど、明日どうなっているかわからない」そのような突然の事態に不安を抱くことは自然な考えです。解決策を残しておけば、何が起きても解決しやすくなりますよね。終活は、個人の人生設計作りの需要が高まったためと考えられます。

また、終活は物を整理するきっかけにもなります。自宅内に物がたくさんあり、自分でもその物をどうすべきか具体的に決めていないという人は多いでしょう。不動産をもっている人は、土地の相続人を誰にするか考えておかなければなりません。改めて私物を見直し、誰に渡すかじっくり考える機会が作れます。

終活のすすめ方

いざ終活をはじめようと思い至っても「何から手をつけてよいかわからない」と足踏み状態の人も多いのではないでしょうか。ここでは、終活の方法を3点ご紹介しています。

エンディングノートを書く

終活を実施するには、エンディングノートの活用がおすすめです。エンディングノートは、近くの書店で購入したりネットで注文したりできるため、手軽に入手できます。また、市販のエンディングノートを使いたくないという人はキャンパスノートを用意し、エンディングノートを作成するのもよいでしょう。エンディングノートを必ずしも購入する必要はありません。何を記載するかも自由です。

エンディングノートに書く内容は自由ですが、自分の基本情報(生年月日や好きなこと)を記載しておきましょう。詳細に記載するほど、自分を改めて見直すこともできます。「自分という存在」を色々な角度から理解でき、新たな発見ができるかもしれません。

日をおいて内容を見返すと記載内容を書き換えたいと思うこともあると思います。そのときは、都度書き直すようにしてみてください。「今日思っていたことが、明日に180度変わる」ということは珍しくありません。心境はいつ変化するかわかりませんので、常に最新の情報を書き残しましょう。

生前贈与を行なう

生前贈与とは、生前中に家族や親族に財産を分配することを指します。

相続は税金が発生してしまうため、相続人の負担を軽くするために行なわれます。生前中に財産を分けておけば、相続人がムダに相続費用を支払わなくて済みます。生前贈与は、誰に物を譲るのかを納得したうえで行ないましょう。家族や親族と話し合う機会をたくさん設けることで、贈与に関するトラブル防止に繋がります。

遺言書を用意する

遺言書は相続人に財産を相続してもらう、法的効力を持った書類です。遺言書を用意しておくことで、遺志を伝えると共に遺族が財産の分配に困ってしまう事態を避けられます。ただし、法的効力をもつためには遺言の内容が、法律に則って作成する必要があります。

もし、遺族が納得できない分配方法だった場合、遺言書が法的効力を持っているか判断されます。相続人は、財産を最低限受け取れる権利を持っています。もし、法的効力を持たない場合や一人の相続人に財産が集中した場合は「遺留分減殺請求」によって、財産が公平に分配される形になるでしょう。

法的効力を持たない遺言書を作成すると効力を発揮せず、相続トラブルを引き起こしかねません。正しく遺言書を作成できるよう準備しましょう。

遺言書の種類を理解しよう

遺言書は性質が異なります。ここでは各遺言書の特徴とメリット・デメリットを紹介しています。

公正証書遺言

公正遺言書とは、2人以上の公証人(法律の知識をもった第3者)と遺言者によって作成される遺言書です。遺言者の遺言内容を公証人が聞き取り、法的効力を持つよう作成。作成した遺言書は公証役場で保管されます。

公正遺言書の大きなメリットとして内容に不備がない限り、法的効力を持っている点です。公証人が遺言書を作成するため、客観性が高く、相続トラブルを予防できます。

しかし、公証役場に手続きをする手間が多く、遺言書の作成までに時間をかけてしまう点はデメリットです。

秘密証書遺言

公証役場へ足を運び、2人以上の公証人に「遺言書の存在」を保証してもらうのが秘密証書遺言書です。署名と捺印があれば、パソコンでの作成や代筆が可能です。

公証人により遺言書の存在を知ってもらう点では利便性があります。しかし、遺言書の内容を公証人が保証するわけではないため、公開したときに法的効力を持たない遺言書になっていたという可能性があります。また、自分で遺言書を管理する必要がありますので、盗難トラブルや家族・親族間に内容を知られないよう考慮しましょう。

自筆証書遺言

遺言者が自筆によって遺言書を作成します。ほかの遺言書と異なり、手続きの必要がないため手間をかけずに遺言書の作成が可能です。

以前は、自筆証書遺言は遺言者自身が保管していました。そのため、生前中は家族や親族に発見されないこと、没後は逆に遺言書の存在を遺族が知らせるなどの都合よい保管場所を選ぶ必要がありました。この問題を解消するため、2020年7月からは、法務局で自筆証書遺言の保管ができるよう法律を整備しています。

自筆証書遺言は、法的知識を持って作成する必要がありますので、遺言内容しだいでは法的効力のない遺言書になってしまう可能性があります。また、自筆証書遺言書を開封の際は、家庭裁判所で検認(遺言書の偽造を防止する手続き)を行ないます。

一般臨終遺言

遺言者の余命が残り少ない場合に利用できる遺言方法です。

遺言内容を3人以上の証人が集まり、遺言者が口頭で内容を説明。証人が書き記していく形式です。一刻をあらそうときに残せる遺言書です。ただし、20日以内に裁判所へ申請しないと法的効力を失ってしまいます。

生前整理をすすめる

生前贈与の一環として、物を整理する生前整理があります。元気なうちに私物を整理することで、遺族が物の処分を判断する必要もありません。現在所有する財産をわかりやすくノートに書き留めます。処分してよい物や分け与える物など、物を整理しながら区別していきます。

いつ行なっても問題はありませんが、正常な自分の意思で判断できるうちに行ないましょう。特に、物の整理に時間がかかります。たくさんの所有物を持っているという人は早い時期からはじめるのが賢明です。

不要な物は買取業者に買取ってもらう

生前整理をしていると、譲る相手がいなかったり私情によって、相続対象にしたくない物をみつけたりすることもあるでしょう。この場合は、買取業者へ買取依頼するのが得策です。不用品をまとめて買取ってもらえます。不用品をお金に換えることで確実に相続ができます。

早めの終活がおすすめ

終活は、身の回りの時間をかけて整理していきます。過去を振り返りながら、今後の方針を決めることで、質のよい余生を過ごせます。20代のうちから終活をはじめる人もいます。

また、亡くなった後は、さまざまな手続きで相続人のお世話になります。今のうちに遺族負担をできるだけ取り除いてあげましょう。そのためにも、早めの終活がおすすめです。